ブランドを武器に:スターバックスの「らしさ」追求による業績回復

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外コン歩兵です。当ブログにお越し頂き有難う御座います!
最近読んだ経営関連書籍(衝撃的なことにアンリミで無料でした)で挙げられていたスタバの事例を基に、「らしさ」について考えてみたいと思います。
それではさっそく本題へ。

企業が他社との競争に巻き込まれずに成功を収めるには、「自社らしさ」を明確に定義し、それを顧客に伝えることが必要だ。この考え方の典型的な例として、スターバックスの業績回復の物語が挙げられる。「スタバらしさ」というブランドイメージを活用することで、他社との競争から抜け出し、再び躍進することができたのだ。(この辺の経営戦略論が気になる方は「ブルーオーシャン戦略」をお読みになって下さい。)

スターバックスの興亡

2001年頃、スターバックスの人気は急上昇した。その理由は他のコーヒーショップとは一線を画した店舗体験にあった。顧客はスターバックスを訪れることで日常の喧騒から離れ、一息つくことができた。その体験は、顧客にとっての癒やしであり、スターバックスの「スタバらしさ」を象徴していた。しかし、競合他社との競争に勝つために効率性を追求する過程で、その「スタバらしさ」が犠牲になった。

具体的には、スピーディーにコーヒーを提供するために、店内で豆を挽く方式から、挽いたコーヒーの粉を店に届けて保管する方式に変更した。この方式は、コーヒーの提供速度を上げる一方で、店内で挽くことで生まれる新鮮な香りが失われた。さらに、これにより顧客が感じていたコーヒー豆を挽く音や、それによって引き立てられるコーヒー体験が薄れてしまった。

2007年ごろ、スターバックスの雰囲気は大きく変わった。店舗数が増える一方で、その店内は狭く、窮屈に感じられるようになった。さらに、コーヒーの味も劣化し、顧客はスターバックスから離れ始めた。その結果、売り上げは下がり、スターバックスは業績悪化に直面することとなった。

安易な広告に頼らない「らしさ」の追求

しかし、スターバックスはこの危機を乗り越えるために、自社の強みである「スタバらしさ」を再認識し、その魅力を顧客に再度伝えることで、業績を大きく伸ばすことができた。店内でコーヒー豆を挽くことを再開し、店舗での体験を大切にするという、「スタバらしさ」に立ち返ったのだ。

現在、SNSやデジタル広告が急速に広がり、瞬間的に消費者の認知を奪い、購買活動につなげようとする傾向がある。一方で、スターバックスはほとんど広告に投資をしない事で有名である。実際、CMらしいCMは一部の例外を除いて存在しない。それなのにスターバックスのブランド力は確固としている。

その秘密は、スターバックスが各店舗自体をブランドの広告塔として活用していることにある。「スタバらしさ」を具現化する各店舗が、顧客に「スターバックスを使う意味」を一次情報として提供しているのだ。そのため、スターバックスは従業員教育に重点を置いており、従業員一人ひとりがブランド価値を理解し、顧客に対してそれを体現することが求められている。

このようなスターバックスの経営戦略や、競争の激しいコーヒー業界の動向について深く知りたい人には、以下の書籍がおすすめです。

スターバックスの経験から学べることは、「自社らしさ」を明確にし、それを顧客に伝えることが、短期的な競争を乗り越え、持続的な競争優位を築くための重要な戦略だということだ。他社との競争から抜け出すためには、自社の持つ独自性や価値を理解し、それを強化し、顧客に伝えることが不可欠である。スターバックスの物語は、その最たる例であり、他の企業にとっての貴重な学びとなるだろう。

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