外コン歩兵です。当ブログにお越し頂き有難う御座います!
前回の記事では、現在価値(PV)の概念と投資への活用法について共有致しました。
今回の記事では、その続編として現在価値(PV)を算出する為に一般的に使われるNPVとIRRについてそれぞれの数値の意味と実際の投資判断を下す際のメリット/デメリットについて共有致します。
それではさっそく本題に入ります。
NPVとは
正味現在価値(NPV)は、将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、それらの合計を算出する手法であり、投資プロジェクトの収益性を評価する重要な指標です。資本の時間価値を考慮した評価が可能であり、例えば、1年後に受け取る1,000円は、現在受け取る1,000円よりも価値が低くなることが考慮されます。
NPVを用いて、投資プロジェクトの収益性を評価することができます。NPVが正の値であれば、投資プロジェクトが収益を生むと判断され、企業はそのようなプロジェクトに資金を投資することが望ましいとされます。逆にNPVが負の値である場合、プロジェクトは期待される収益を生み出すことが困難であると判断され、その投資案件は避けるべきであるとされるでしょう。
IRRとは
内部収益率(IRR)は、投資プロジェクトの収益性を評価するための指標であり、プロジェクトが生成するキャッシュフローの割引率を計算することで得られます。NPVがゼロになる割引率を求め、それをプロジェクトの収益率として解釈します。例えば、IRRが10%である場合、そのプロジェクトは10%の利益を生み出すと見込まれます。
企業が投資を行う際、IRRは資本コスト(会社が資金を調達する際に発生する費用)と比較されます。IRRが資本コストよりも高い場合、そのプロジェクトは十分な収益性があると判断され、投資が行われることが一般的です。逆に、IRRが資本コストを下回る場合、そのプロジェクトは期待される収益に対してリスクが高すぎるとされ、投資が見送られることがあります。
NPVとIRR算出の例
上記が概念的な説明となりますが、理解促進のために具体例を挙げてNPVとIRRを用いて現在価値を算出してみようと思います。
対象となる案件の条件は下記の通りです。
この案件のNPVは下記の通り約46,763千円となります。
(※前回の記事でも記載しましたが、各年のCFを割引率で割引いた金額が割引後CFです。)
次に、この案件のIRRを算出しましょう。
IRRはNPVが0となる割引率なので、ゴールシーク機能を使ってNPVの値が0なる割引率を計算します。
この案件のIRRは約25%となります。
ちなみに、割引率をIRRにした場合のNPVは下記の通りです。
NPVとIRRのメリット/デメリット
双方が案件の価値を計算する手法であるならば、NPVとIRRのメリット/デメリットはどこにあるのでしょうか。
下記のスライドに一覧化してみました。
NPVとIRRを使うべき事例
以上から、NPVとIRRを使うべき事例は下記となります。
NPVを使うべき事例
- 複数のプロジェクトが投資候補として提示され、それぞれのプロジェクトの絶対的な投資価値を比較したい場合。NPVは現在価値に基づく投資効果を評価するため、絶対的な金額での比較が可能です。
- プロジェクトのキャッシュフローが不規則であるか、収益のタイミングが異なる場合。NPVは各期のキャッシュフローを現在価値に換算して合計するため、キャッシュフローのタイミングがバラバラでも適切に評価できます。
- 長期的な投資プロジェクトを評価する場合。NPVは将来のキャッシュフローを現在価値に換算することで、プロジェクト全体の価値を把握できます。これにより、長期的な視点での投資効果を評価することが可能です。
- プロジェクトの成功を金額ベースで評価したい場合。NPVは正味現在価値を計算することで、プロジェクトがどれだけの利益を生み出すかという金額を明確に示すことができます。これにより、投資判断の根拠として強力な指標を得ることができます。
IRRを使うべき事例
- プロジェクトの相対的な収益性を比較する場合。IRRはプロジェクトの収益性を利益率で示すため、異なる規模や期間のプロジェクト間での比較が容易になります。
- 投資の回収期間やリスクを考慮した評価が求められる場合。IRRはプロジェクトの収益性と回収期間を同時に考慮する指標であり、高いIRRを持つプロジェクトはより短期間で投資回収が期待できることを示します。
- 資本コストとの比較が重要な意思決定の要素である場合。IRRが資本コストよりも高いかどうかで、プロジェクトの収益性が十分かどうかを判断することができます。これにより、コストとリターンのバランスを適切に評価することが可能です。
- プロジェクトの収益性を継続的にモニタリングする場合。IRRはプロジェクトの期間全体での収益性を示すため、プロジェクト進行中にIRRを計算し直すことで、現在の収益性や将来の見通しを評価することができます。これにより、適切な投資管理や修正が行えます。
以上がNPV/IRRの考え方と算出方法、メリットデメリットを踏まえた用法となります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
コメント
証券アナリスト資格の勉強してた頃を思い出しました。当時はよく分かっていませんでしたが、NPVが一つの投資案件にのるかそるか判断する指標で、IRRが複数の案件があって、一番良いやつを選ぶというイメージなんでしょうね。資金力のある人は、NPVでがんがん投資して、資金力のない人はIRRで投資効率のよい事業選定をやっていくべきなんでしょうね。参考になりました。ありがとうございます。
Love and Smile さん
コメントありがとうございます!
ご理解の通りです。私の拙い説明からでも抽象的な内容をご理解いただいて光栄です。
証券アナリスト勉強されていたんですね。恥ずかしながら私は銀行員時代に勉強途中で諦めてしまいました。。笑